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横隔膜ヘルニア

現在、出生前診断でさまざまな疾患がわかるようになってきました。そこで本記事では超音波検査により診断できる横隔膜ヘルニアについてご紹介しています。横隔膜ヘルニアの検査方法や症状、治療方法などについてまとめましたので、出生前診断を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

生まれる前の横隔膜ヘルニアの検査方法

横隔膜ヘルニアは、妊娠中の超音波検査によって出生前診断が行われるケースが多いといえます。特に、胎児の頃からお腹の臓器が胸に入り込んでしまっている場合には、羊水がとても多かったり、心臓や胃の位置に異常が見られたりすることで診断されます。
異常が見つかった場合には、MRI検査などを行うことで胸に入り込んでしまった臓器の状態や、ほかの臓器によって圧迫されている肺がどのような状態になっているのかを詳しく確認します。

お母さんの血液中にある胎児のDNAの断片を調べるniptでは、横隔膜ヘルニアの診断はできません。

横隔膜ヘルニアとは

横隔膜とは、胸とお腹を分けている筋肉の膜ですが、この膜に穴が開いてしまうのが横隔膜ヘルニアです。通常、横隔膜は胎生2ヶ月半ころに出来上がりますが、うまく横隔膜が作られず、穴があいた状態になっています。

このように横隔膜に穴が開いた状態だと、多くの臓器(胃や小腸、大腸、肝臓など)が胸の方に入り込んでしまいます。
これらの臓器が入り込む時期が、肺の発達において重要な時期と重なることから、成長すべき肺が圧迫されて発達が阻害され、生まれてすぐに呼吸困難を引き起こすと考えられています。

先天性のものは多くが生まれる前からお腹の臓器が胸の方に入り込んでいる状態ですが、横隔膜に空いている穴が小さい場合には、生まれてから症状が出るケースもあります。横隔膜にできる穴は左側の方が多い傾向があり、発症率は10,000人に1〜4人と推定されています。

横隔膜ヘルニアの症状

症状や重症度はそれぞれで異なるものの、重症の場合は生まれた直後から呼吸困難が起こる、血圧が保てないといった症状が見られます。そのため、人工呼吸や血圧を保つ処置が行われます。
ただ、臓器が胸の中に入り込んでいる重症の場合には、両方の肺がうまく育っていないために治療も大変難しいとされています。

その反面、生まれてから1日以上経過してから症状が出る場合も。この場合には、呼吸障害が軽度だったり、腹痛などの消化器症状が主となるケースもあります。

横隔膜ヘルニアの発症理由

先天性の横隔膜ヘルニアは、お母さんのお腹にいる間に横隔膜がうまく作られなかったことが原因で発症します。
横隔膜をうまく作れない原因は、ビタミンAが変化したレチノイン酸や遺伝子が関わっているのではないかという説もありますが、はっきりとした発症理由はまだよくわかっていません。

横隔膜ヘルニアの治療方法

重症例と判断された場合は、まずは呼吸や血液循環を保つための治療を優先して行います。出生後すぐに人工呼吸器をつけることになりますが、肺の発育が悪い場合には肺への血液循環がうまくいかず、人工呼吸を行っても血液中の酸素濃度が保てない、という状態になってしまいます。
この場合には十分に鎮静してから、高濃度の酸素を投与します。さらに薬剤を点滴することによって、肺の血管を拡張させたり、血圧を安定させたりします。また、肺の血管を直接広げる作用を持つ一酸化窒素を吸入させるケースもあります。

このような治療を行い、呼吸や血液の循環が安定したことが確認できた時点で手術を行い、胸に入り込んだ臓器を本来の場所に戻して横隔膜の穴を閉じますが、穴が大きい場合には人工布や腹壁の筋肉を用いた横隔膜の再建を行います。

横隔膜ヘルニアと診断された赤ちゃんの出産について

生後24時間以内に発症したケースは重症度が高いといわれています。ただし現在では、出生前診断により横隔膜ヘルニアがわかることによって、小児外科医がいる施設での分娩が可能となったため、救命率が上がってきています。
さらに、以前は生まれてすぐに緊急手術を行っていたものの、手術によるストレスの影響で血液循環が悪くなり、人工呼吸器で肺を無理に膨らませると肺が傷ついてしまうことがわかっています。

そのため現在は生後すぐに手術を行わずに、血液循環を安定させた後に手術を行っています。

まとめ

出生前診断によってわかる横隔膜ヘルニアについてご紹介してきました。

ここまで説明してきた通り、横隔膜ヘルニアは横隔膜に空いた穴の大きさと、臓器が胸に入り込む時期により重症度が変わり、非常に個人差が大きい疾患です。
実際に診断された場合、どの程度の重症度なのかは担当医に確認することが必要。

あらかじめ疾患がわかることにより大きな不安を感じるかもしれませんが、万全の体制で出産を迎えられたり、治療や育児における心の準備ができるという点ではメリットもあるといえるでしょう。

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