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21トリソミー(ダウン症候群)

21トリソミー(ダウン症候群)とは、染色体のひとつである21番目の常染色体が2本のところ3本になっていることによる染色体異常のことをいいます。こちらでは、さらに21トリソミー(ダウン症候群)について解説します。

21トリソミー(ダウン症候群)の原因とは?

21トリソミー(ダウン症候群)となる原因は3つあると言われています。

標準型

21トリソミー(ダウン症候群)の染色体を確認すると、21番目の染色体が3本あります。通常、染色体は2本あるのに対して1本多くなり、合計数も47本となり1本多いことが標準型の特徴。

21トリソミー(ダウン症候群)は、この染色体異常での割合が全体の95%を占めます。

転座型

染色体は通常と同じ46本と変わりはありませんが、21番目の染色体がほかの染色体と結合しているものを「転座型」といいます。両親のどちらかが転座した染色体の変異遺伝子が原因に。21トリソミー(ダウン症候群)で遺伝するのは転座型のみです。

モザイク型

正常な染色体細胞と21トリソミー細胞が混ざっている染色体がモザイク型。

21トリソミー(ダウン症候群)の中でもめずらしいと型で、転座型とモザイク型を合わせて全体の5%の割合です。

21トリソミー(ダウン症候群)の症状

こちらでは、21トリソミー(ダウン症候群)にみられる代表的な症状を説明します。

外見上の特徴

頭は小さく、平たい顔。つりあがった目で両目とも離れていることが多いのが特徴です。

耳は顔の低い位置にあり、手の小指は短く、足の親指と人差し指の間が離れていることも。また、首の後ろの皮膚がたるんでいることがあります。

さらに、舌が大きく前へ突き出ていることが多く、舌が出やすいことも。このため、必然的に口呼吸になることが多くなります。

知的障害

21トリソミー(ダウン症候群)の方の知能指数は50程度といわれ、注意欠陥障害や多動性障害、自閉的な面が見られます。

しかし、知的障害の程度は幅広く21トリソミー(ダウン症候群)だからと言って知的障害が重度であるとは限りません。実際、日常生活を一人でこなせる、大学進学・卒業までできる、芸術分野で活躍するなど変わりなく過ごせる方もいます。

筋緊張の低下

21トリソミー(ダウン症候群)は、筋肉の発達が遅く運動能力が低いと評価されることが多くあります。そのため、乳児期に首の座りやハイハイなどが遅れてしまうことや猫背のように姿勢が悪くなることも。

また、平衡感覚も弱い傾向にあり、成人になっても階段の上り下りが苦手という方もいます。

この筋緊張で問題となるのが、運動機能の低下による肥満。幼少期から栄養とカロリーコントロールをすること画必要です。

言語発達の遅れ

知的障害と筋緊張の低下が関わる症状に多く見られるのが、言語発達の遅れ。筋緊張が低下しているため、口周りの筋力も低下して言語発達の遅れと吃音につながります。

また、合併症として耳鼻科疾患を抱えていることが多く、聴力低下がみられる方も。耳からの刺激に対して反応が弱くなり、言語発達の遅れに影響することがあります。

21トリソミー(ダウン症候群)の合併症とは

21トリソミー(ダウン症候群)にみられる合併症は、出生直後の診察で判明するものもあれば、スクリーニングテストの結果でわかるものもあります。ここでは考えうる合併症とその特徴を紹介します。

心疾患

先天性心疾患は、21トリソミー(ダウン症候群)の40~50%の割合で見られる症状。代表的な疾患名は、心室中隔欠損症、心内膜床欠損症、動脈管開存症などです。

出生直後の診察で皮膚色が暗紫色で心雑音があるとわかった場合、エコー検査を実施。その結果によって早々に手術をすることもあれば、体重増加して発育してから手術をすることがあります。

消化器疾患

生後2日目になっても胎便がみられなかった場合に疑われるのが、食道閉鎖や十二指腸閉鎖、先天性巨大結腸症などの疾患。レントゲンや造影検査によって疾患が明らかになった場合は、胃ろう造設をします。

気管と食道が癒合しているケースでは、手術で切り離す必要も。それらの処置をしたうえである程度のところまで発育をしてから手術が行われます。

消化器疾患は筋緊張の低下が見られるためいきむ力が弱い面も。この影響から便秘傾向になる方が多いことも特徴に挙げられます。

眼疾患

近視・遠視・乱視などの屈折異常がみられるほか、斜視や白内障と診断される方も多くみられます。早い段階から眼鏡での視力矯正や必要に応じて手術などを行うことも。

眼疾患の影響により「目をこする」「炎症を起こす」「自傷を繰り返す」などのケースも多く早期の段階で治療する必要があります。

耳鼻科疾患

21トリソミー(ダウン症候群)の60%でみられるのが、耳鼻科疾患。そのなかでも一番多くみられるのが、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)です。

通常の中耳炎であれば痛みや発熱をともないますが、中耳炎を繰り返し起こすことで発症する滲出性中耳炎は無症状なことも。耳の圧迫感を訴えている、聞こえ辛そうにしている症状があれば滲出性中耳炎を疑ってみてください。

ほかにも、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など、耳鼻科疾患にかかりやすいため注意が必要です。

代謝・内分泌疾患

代謝・内分泌疾患に挙げられるのは、先天性甲状腺機能低下症。甲状腺の働きが知能発達にも影響を及ぼすため、発見した段階から治療が開始されます。

治療は一過性のものもあれば、生涯にわたって治療が必要なものもあるのが特徴。生後4~6日目に行われるマススクリーニングテストにて、20種の先天性代謝異常について検査してその中には先天性甲状腺機能低下症が含まれます。

代謝・内分泌疾患で気をつけておきたいのが、糖尿病。21トリソミー(ダウン症候群)は低身長の方も多いため、BMIでは肥満と判定されやすい傾向にあります。ほかにも筋肉の発達が遅いため運動能力が低いことも一因になるでしょう。思春期以降に運動量が減少しやすくなるため、そのタイミングで肥満になりそのまま糖尿病を発症するケースが見られます。

血液疾患

血液疾患は、白血病、骨髄異形成症候群、血小板減少症、赤血球増多症など合併症がみられます。血液疾患により出血しやすい状態になるため、ケガや内出血がないか定期的に観察が必要。血液疾患の治療は、成人と同様に化学療法を用いられます。

神経疾患

21トリソミー(ダウン症候群)の方のなかには、けいれん発作がみられることも。検査結果から「てんかん」と診断されるケースがあり、身体を流れる電気的な興奮が異常に繰り返される状態に注意が必要です。

主な症状は意識を失ったり倒れたときに打撲したりなど、外傷を負う可能性大。神経疾患においては長期的な治療が必要になります。

骨格系疾患

骨格系疾患の環軸椎(かんじくつい)不安定性は、第1頚椎と第2頚椎にずれが生じやすい状態になること。不安定性を認めた場合は、前転やトランポリンなど飛び跳ねるような運動を避ける制限が必要になることがあります。

ほかにも、環軸椎がずれている程度によって脊髄を圧迫・損傷してしまう可能性も。骨格系疾患の治療には手術や牽引などを行われることが一般的です。

21トリソミー(ダウン症候群)児を育てるために必要なこと

ゆっくり成長する21トリソミー(ダウン症候群)児。日常の子育てのなかで気をつけることや必要なことを紹介します。

定期的な病院の受診

出生後に手術を受けている方だけではなく、身体に変化が起きていないかどうか観察する必要があります。そのため、21トリソミー(ダウン症候群)児は生涯にわたり定期的な病院受診が欠かせません。

病院の受診では、診察と血液検査がメイン。身体の変化をうまく伝えることが難しい場合は、家族の観察からの報告によって21トリソミー(ダウン症候群)児の状態を把握します。

療育施設や保護者会の活用

都道府県・市町村で開催されている療育施設や保護者会など、地域支援の活用がおすすめ。自分だけではわからないことを相談したり家族として共感できたりする時間は、大きな支えになります。21トリソミー(ダウン症候群)児だけではなく家族もサポートを受けましょう。

コミュニケーションをとる

情緒的な発達を促すために必要となるのが、コミュニケーション。ゆっくりと成長するなかで家族とのコミュニケーションから言葉や情緒、社会性を身につけていきます。

21トリソミー(ダウン症候群)児は感性が豊かな反面、傷つきやすいところも特徴のひとつ。進学や新たな役割を担当するなど環境の変化についていけず、思春期頃から内向的になることもあるでしょう。このような変化に気づくためにも、家族とのコミュニケーションが重要になります。

肥満に気をつける

筋緊張の低下から運動能力の発達が遅れてしまうため、乳児期から首の座りやハイハイなど発育曲線に沿った成長過程を踏むことが難しいポイント。とくに運動量が少ないことによる肥満は合併症のリスクがあるため気をつけておきたいところです。

21トリソミー(ダウン症候群)児のなかでもこだわりが見られる場合は、食べるメニューが決まってしまう癖が出てくることも。糖尿病予防のために、栄養バランスと食事量のコントロールを意識するようにしましょう。

21トリソミー(ダウン症候群)児に関連する公的な支援

21トリソミー(ダウン症候群)児と家族に対する支援は、どの手当も同時に受けることが可能です。

療育手帳

知的障害児や知的障害者に対して交付される手帳で、支援やサービスが受けやすくなることを目的としてつくられた制度。

地域によって手帳の名称は異なります。療育手帳の交付を受けるためには、都道府県にある児童相談所に申請が必要です。

判定基準は申請する都道府県によって違うため、事前確認をしておくと安心でしょう。等級については統一されていますが、程度については都道府県によって「重度」や「A」という異なった表現になっています。

手帳を持つと就職活動に活用することも可能。等級や程度によってJRなど公共交通機関をはじめ、タクシーや高速道路などの料金の割引が適応できます。

ほかにも税金や携帯電話料金、レジャーに関する料金の割引も。医療費に関しては所得制限がありますが、重度と判定された方のみが適用される要件になります。

身体障害者手帳

身体に障害を持つ方が交付を受けられる手帳。身体障碍の認定を受けると、医療費の助成や福祉機器の交付、税金の免除(所得制限あり)や公共交通機関の割引などの支援を受けられます。

障害の状態とレベルによって等級が判定されること、等級と市町村によって受けられるサービスも異なることがあるため確認が必要です。

特別児童扶養手当

身体や精神に障害を持つ児童の父母に支給される手当のこと。所得制限があり、20歳未満の児童が対象です。

障害児福祉手当

身体障害があり日常生活に制限がある児童に対して支給される手当のこと。所得制限があり、20歳未満の児童が対象です。